日本初の女性報道写真家・笹本恒子さんと、伝説となった孤高のジャーナリスト・むのたけじさん、おふたりの魅力に迫ったドキュメンタリーを観に行った。 おふたりとも100歳を超えてなお現役。 語弊があるのを覚悟で言うなら「バケモノのような」気力と体力、そして人間力である。 むのたけじさんは残念ながら2016年夏、101歳で亡くなられた。 第一次大戦の翌年に生まれたという、むのさん。 戦中、大手新聞社の記者として活躍するなかで、マスメディアのあり方に疑問を感じたという。戦後、価値観が180度変わってしまった世の中で、フリーランスのジャーナリストとなって、日本独特の狭い価値観から一歩距離を置いて世の中に伝え、亡くなる直前までジャーナリスト道を貫いた。 一方の笹本さんは、日中戦争のさなかに、報道写真家としてのキャリアをスタートさせる。女性の社会的地位はまだまだ低かった時代に、男性と肩を並べて歴史の節目をカメラに収めた。一時期写真の世界から遠ざかるものの、71歳で活動を再開し、「明治生まれの女性たち」を題材に、日本の女性史を独自のまなざしで撮り続けた。 むのさんの有名な言葉に「あきらめることをあきらめよ」という一節がある。 「奇跡は望むものではない。どこにも落ちていないし、カネで買うこともできない。ほしいと望むものたち自身が自分らでつくるものだ。 それを求めるなら、まず『あきらめること』自体をあきらめること。そして、命がけで努力することです」 おふたりの言葉に、ハッとさせられるのは、まさに「命がけで」生き抜いてきた人たちの、生きた言葉だからだろう。 辛いことも、苦しいことも、喜びの倍以上あったはずである。 今は介護施設で暮らす笹本さんが、高台の自宅マンションに一時帰宅した時 「眺めもいいし、死のうと思えばすぐ飛び降りられる」と監督に話すシーンがあった。 「もしかして、飛び降りようと思ったことがあるの?」と聞く監督に 「なきにしもあらず。人生100年ですからね」 と微笑む笹本さんは、観音様のように神々しかった。 苦悩や痛みを乗り越えて、自分の信じる道を笑顔で歩んできた、むのさんと笹本さん。 おふたりの笑顔を胸に、強くしなやかな女性になりたいと改めて感じた。 いい映画観たー!!と、誰かに話したくなる作品です。 【オススメ対象】 エネルギー不足の方 若い世代 自分に迷っている時
by edison_bb
| 2017-06-30 17:50
| 映画レビュー
|
カテゴリ
以前の記事
2022年 05月 2019年 04月 2019年 03月 2018年 08月 2018年 07月 2017年 10月 2017年 09月 2017年 08月 2017年 07月 2017年 06月 2017年 05月 2017年 04月 2014年 05月 2014年 04月 2014年 03月 お気に入りブログ
メモ帳
最新のトラックバック
ライフログ
検索
タグ
その他のジャンル
ブログパーツ
最新の記事
外部リンク
ファン
記事ランキング
ブログジャンル
画像一覧
|
ファン申請 |
||